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南アフリカ共和国より

ヨハネスブルグ支店 駐在員 渕岡 圭一

ヨハネスブルグ支店は、日系企業の南アフリカ進出がまだ少なかった1962年にいち早く設立されました。南アフリカ共和国ではアパルトヘイト政策、それに伴う国際的制裁等多くの変革が有りましたが、途切れる事無く設立以来60年の長きにわたり、さまざまな製品を南アフリカへ輸出してまいりました。

当支店のあるヨハネスブルグは、南アフリカのビジネスの中心でもあり、かつアフリカ諸国進出へのゲートウェイとして広く知られています。
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南アフリカの素晴らしいところ

2021-04-16
Cape Pointからの眺め。
前回、南アフリカはとても治安が悪い国と書いて、ネガティブイメージを持たれた方も多いと思いますので、今日は南アの良いところを御紹介します。

①観光資源
私たちが住み、かつ商業の中心地で有るヨハネスブルグにはそれほど無いのですが、南アフリカ全体としてはとても多くの観光地が有ります。

ヨハネスブルグから車で5時間くらいのところにあるクルーガー国立公園。四国と同じくらいの面積を持つと言われる広大な国立公園です。敷地内にはキリンやライオンやゾウ、運が良ければヒョウなども見られます。自分の車でそのまま公園内に入れますし、敷地内のロッジに宿泊する事も出来ます。広大な敷地内を運転していると、目の前をゾウの親子が横切る、なんて風景も見られます。

有名なCape Townは本当に美しい都市です。大西洋とインド洋に面し、Cape Pointというアフリカ大陸の先っぽ(アフリカ最南端はここではなくCape Agulhasという別の小さな町です)から眺める景色はとても素晴らしいです。ケープタウンはワイナリーが多く有り、宿泊施設を併設したワイナリーに泊まって、ワインをたくさん味わう事も出来ます。

またケープタウンから東に行くと、Hermanusというホエールウォッチングで有名な町も有ります。インド洋側の都市Durbanは、サーファーがよく訪れる場所だそうです。

②食べ物
南アフリカの食べ物は本当においしいです。ステーキが有名ですが、ちゃんとしたレストランでステーキを注文しても、日本のファミレスよりちょっと高いくらいです。まあ量が多い(300gが普通)ので、グラム単位で見たらファミレスより安いかもしれません。

スーパーで販売されている野菜、果物、牛乳等も新鮮でおいしいです。また文化的には欧州の影響が有るので、豊富な種類のチーズがスーパーで買えます。

南アの特産品として有名なワインはもちろん言うまでも有りません。私はあまりお酒を飲めないのですがお酒自体は好きです。全くワインの味の違いが分かりませんが、スーパーで売っている1本300円くらいのワインで十分満足です。

③スポーツ
私は家族の影響もあり、南アでテニスを少しやるようになりました。日本への一時帰国の際に、自宅近くで家族でテニスでもしようとテニスコートを予約しようとしたら全く予約が出来ず、驚いた事が有ります。南アでは多くのテニスコートが有り(自宅敷地内に有るケースも)、またゴルフ場に併設されている事も多く、安く借りる事が出来ます。

Gary Playerのような世界的ゴルファーを輩出した南アだけに、ゴルフ環境も非常に整っています。私たち日本人駐在員が住んでいる地区は比較的商業の中心地に近いのですが、車で30分以内の場所に多くのゴルフ場が有ります。歴史の有る名門コースでも費用は非常に安く、メンバーでなくても4,000円くらいでプレー出来ます。

日本ではゴルフというとお金がかかって一日仕事なイメージが有りますが、南アでは朝早くにスタートすれば、12時前に自宅に帰る事も可能です。ゴルフに対して敷居が低いので、私のような壊滅的なスコアを出すプレーヤーや、小学生くらいの子供も楽しくラウンドしています。

日本ではなじみが薄いですが、ラグビーやクリケットは、道具が普通のスポーツショップで販売されているぐらい、南アの人たちには一般的なスポーツです。

また私はアイスホッケーというちょっと変わったスポーツをやっているのですが、南アはこのスポーツに関しては知名度は低く、まだ発展途上です。アイスホッケーは当然スケートリンクが無ければ練習も試合も出来ず、環境にはいつも苦労します。以前駐在していたシンガポールでは、国内にスケートリンクゼロという時期が有りました。

ヨハネスブルグ近郊には設備の整った、アイスホッケーが出来る国際規格のスケートリンクが4か所もあります。チームが少ない事も有りますが、練習も試合もとても良い時間帯で行われています。日本の首都圏ではスケートリンク閉鎖が相次ぎ、深夜に練習・試合をやっていた事を考えるとかなり恵まれています。

という事で、治安が極度に悪いのはマイナスでは有りますが、かといって毎日暗澹とした気持ちで暮らしているわけでは有りません。

石﨑 貴寛

南アフリカの治安

2021-03-27
倒れた信号機。こんな感じでしばしば信号機が破壊されています。中の電線とかを盗むのだそうです。
日本では、「修羅の国」とか「リアル北斗の拳」(知らない方はグーグル先輩に聞いてみて下さい)等と言われている南アフリカ。

さすがにそれは少々大げさですが、まあ全面的に間違っているわけでも有りません。

南アは人口約5500万人にたいして殺人件数が年間約21,300件、対して日本は人口約1億2500万人に対して殺人件数は年間約950件くらいだそうです。単純計算で、南アでは毎日約58名の方が不幸にも殺されてしまっている事になります。強盗、空き巣、ひったくり、車両強盗に至っては年間約470,000件だそうで、毎日1,280件以上という事になります(数字は昨年の両国の犯罪統計資料を参照)。

こういう国ですので、日本とは全く違った生活スタイルとなります。

基本的にショッピングモール内を除き、外を歩く事はほとんど有りません。自動車に乗ったら最初にまずドアロックをします。ドアロックをしていても、信号待ちで停車中に窓ガラスを叩き割られ、助手席や後部座席に置いてあるバッグを強奪されるという事はよく有ります。なので、暑い時期でも窓ガラスを開けて運転する事はほとんど有りません。私は信号待ちの際に、2台前に止まっていた窓ガラス全開の車が、近寄ってきた男にバッグを強奪される現場を見た事が有ります。

こんな事が白昼堂々起こりますので、夜の運転はなおさら警戒しなければなりません。

セキュリティに関しては、多くの日系企業もそうですが、会社に万全の体制を取ってもらっています。セキュリティでケチってはいけません。住んでいる家は電気フェンスで取り囲まれていますし、何かあれば武装したスタッフが5分以内に駆けつけるセキュリティ会社と契約をしています。そんなわけで幸いにも、今まで大きな犯罪に巻き込まれた事は有りません。

アメリカの犯罪都市や中南米の国なんかでも恐らく似たような感じなのではと想像しています。行った事は有りませんが。

と、マイナス面ばかりでは有りますが、もちろん南アフリカにも良いところはたくさんあります。
次回はそのあたりを紹介します。

石﨑 貴寛

COVID-19(新型コロナウイルス)

2021-03-05
ロックダウン中の酒屋。襲撃されないよう看板を隠しています
今日3月5日は、南アフリカで新型コロナウイルス感染者第1号事例が確認された日です。当時既に日本も含めたアジアでは感染拡大が進んでおり、アジア人差別なんて話も有りました。

今でもよく覚えているのはこの日車を運転中に、ラジオのDJが「感染者第1号が確認されましたが、新型コロナウイルスに感染しているものと誤解されるので、マスクは着けない方が良いです」と言っていた事です。当時南アフリカでは、マスクを着けている人がほとんどいなかった為、逆に目立つからという事だったのでしょう。

あれからちょうど1年。

そんな話がまるで遠い昔のようです。現在南アフリカでは公共の場でのマスク着用が法律で義務付けられています。

その後3月26日から4月30日の間は、世界でも最も厳しい部類と言われたロックダウンが施行されました。基本的に外出禁止とされたこのロックダウンは、欧州でのものと基本的には同じだったのですが、南アフリカの場合、ただでさえ治安が悪いのに、更なる悪化が懸念された事です。日本人だけでなく多くの在留外国人が、チャーター便を使って母国へ退避していきました。

実際にロックダウンが始まってみると、休業中の酒屋が襲撃されたり、誰もいない学校が襲撃され備品を強奪されたりといった話は相当数聞きました。治安維持の為軍隊や警察が出動していましたが、彼等の行き過ぎた取り締まりで命を落とした市民もいました。治安部隊に危害を加えらえる可能性もあったので、私自身も週1度の食材の買い物以外は外出しませんでした。

南アフリカはその後、最悪期には20,000人/日の感染者を出し、感染者数世界ワースト5位まで行きました。変異種で今も悪目立ちしていますが、現在国内は現在感染者数は1,000人台、日によっては1,000人を切る事も有ります。生活も一部夜間外出禁止令は残っていますが、ほぼ平常を取り戻しています。

3~4月のロックダウンの時には、確かに精神的にも大変ではあったのですが、今では、あんな事もあったな~という感じです。
来年の今頃には、新型コロナウイルスの時は大変だったよね~と、過去の事として話せる事を祈っています。

石﨑 貴寛

南アフリカの恒例行事?

2021-01-18
こんな感じでヨハネスブルグは晴天の日が多いです
南アフリカでは、日本ではあまり経験しない、恒例行事と言えるものがあります。

それは、「停電」です。

南アフリカでは、電力の需要増に供給量がなかなか追いつかず、かつ発電所設備の老朽化等の問題が有り、しばしば電力使用量を下げる為の計画停電が発生します。

これは、地域を分けて輪番制で停電を実施するもので、現在はだいたい4時間30分程度が一区切りとなっています。先週木曜日から本日まで、計画停電が続いています。政府はこの計画停電が今後数年は続くものと予測しています。

南アフリカでは、この計画停電実施地域・時間を知らせるケータイアプリが有り、これをダウンロードしていないと大変な目に遭います。仕事中にいきなりパソコンの電源が落ちて必死に作ったデータが消えてしまったり、料理中(南アフリカはいわゆるコンロはガスでは無く電気が多いです)のステーキ肉がレア一択になったりします。

ですので常に、このアプリで自分の住む地区、事務所のある地区の計画停電有無を気にしています。

但しこのアプリを信頼しすぎると、たまに「計画ではない停電」が発生します。これは突然来て、いつ終わるか分からないので本当に困ります。朝起きたら停電していて、夜寝るまでずっと停電だったという事は一度や二度では有りません。この、「計画ではない停電」が発生すると、電力会社のTwitterが大量の苦情コメントで荒れに荒れます。

また停電ほど頻度は高くないのですが、「断水」もしばしば発生します。これも設備の老朽化が原因と思われます。

停電と断水、どちらがよりつらいかという話ですが、両方経験した立場からすると、断水の方がつらいと感じます。断水の場合、シャワーを浴びられず、手も洗えず、料理が作れず、食器が洗えず、トイレも流せません。ショッピングモールに行っても、断水中につきトイレ使用禁止とか貼り紙がしてあったりします。

そんな状況で、近所の水道管がバーストしたのか、水が勢いよく噴き上がっている光景などを見ると、オイ!とツッコミを入れたくなります。

石﨑 貴寛
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