ヨハネスブルグ支店 駐在員 渕岡 圭一
Propak Africa 2022
2022-03-14
先週ヨハネスブルグのExpo CentreにてPropak Africaという包装機器展示会が開催されました。
COVID-19の影響により昨年開催予定だったものが延期となりましたが、ようやく新規感染者数も2,000人を切るようになり落ち着きを見せ始めたことで、今年は無事に開催となりました。
しかしながら、例年10万人以上の来場者が見込まれているPropakもやはり今回は6万人程度の来場見込みと、いつもよりは若干おとなしい雰囲気でした。
アフリカと聞くと豊かな自然や動物などが最初に思い浮かぶかもしれませんが、実は南アフリカはアフリカ大陸内における物流の中継ハブであり、消費財の一大製造拠点でもあるため、製造業は非常に大きな産業のひとつでもあります。
日本国内で普段目にする色々なものが、実は意外と南ア産ということはあまり知られていない事実かもしれません。
しかしながら日本や欧米などの先進国では製造業における機械化、オートメーション化が非常に進んでいますが、当地では特に黒人の若年層を中心とした失業率の高さや現場労働者の人件費の安さ等の要因からか、結果的に労働者の就業機会を奪ってしまうようなオートメーション化は思ったよりも遅れています。
最先端の技術とマニュアルな労働環境、IT技術でどんどん便利になる社会といつまでたっても向上しないサービスの質、全部ひっくるめてTIA(This is Africa)と言えるのでしょう。
そのような環境下で何が出来るのか、どんなビジネスの機会を見つけられるのか、115ランド(約900円)の南ア産ワインを飲みながらゆっくりと考えたいと思います。

嬉しく怖いホームラン
2022-01-31
石﨑の後任として昨年末にヨハネスブルグに赴任しました渕岡です。
当地には二度目の駐在なのですが、街中に高層ビルが増えていたり、以前は何もなかった場所に新しい道路が出来ていたり、コロナウィルスの影響もあってかデリバリーサービスが非常に充実していたりと、様々な変化に日々驚いています。
さて、年明け以降はヨハネスブルグの日本人駐在員の間ではソフトボール大会の話題で持ちきりになります。
我々のような初心者集団のエンジョイソフトボールのチームから、平日まで集まって練習するガチ勢の野球経験者チームまで様々ですが、日ごろの運動不足解消もかねてワイワイ楽しんでいます。
フライを取れたら拍手が起こるような我々のチームは当然ながら連敗続きなのですが。
先日は日本人学校で練習試合があったのですが、いつものように我々のチームの打球は練習の時からゴロや内野フライ(しか打てない)ですが、上手いチームは矢のような打球がバンバン外野へ飛んでいきます。
敷地外へ飛び出したホームランボールは、当然回収に行かなければならないのですが、治安の悪いここヨハネスブルグではボール拾いも一苦労。
公道では万が一のこともあるため、わざわざ駐車場に止めてある車で学校の裏へ回り、ボールを回収しなければなりません。
子供の頃に草野球をしていた公園の隣の家のカミナリ親父に怒られるのと同じように、ヨハネスブルグではホームランは嬉しさ半分、怖さ半分といった感じです。
いつの日か、ここにも思い切りホームランを喜べる日が来るのでしょうか。
少なくともサードゴロと内野フライばかりの私には一生縁がなさそうですが。
渕岡圭一

南アフリカとオミクロン株
2021-12-22
大変残念な事実ですが、今日本に帰って周りの人たちに「南アフリカから戻ってきました」と言ったら、かなり警戒され、場合によっては露骨に不快な対応をされるでしょう。
例の新型コロナウイルス変異種、オミクロン株の為です。
今でも覚えていますが、確か公表されたのは11月25日です。この日を境に、南アフリカ及びその周辺諸国からの訪問者は、世界中から拒絶される事になってしまいました。
航空会社各社は即座に南アフリカからの旅客便を運航停止とし、現在日本へ行ける航空会社は実質欧州廻りの2社しか有りません。この措置は12月も後半を迎えた本日現在も続いています。
しかしながら、実は「南アフリカでオミクロン株発見」のインパクトがあまりに強かった為、見過ごされている事が有ります。
南アフリカで最初のオミクロン株が発見されたという事実が世界中を駆け巡った数日後、欧州保健当局の発表として「オミクロン株は南アでの発見より先に欧州で確認されていた」という報道が有りました。
欧州では以前よりオミクロン株があったという事であれば、最先端の科学技術を持つはずの欧州の研究所ではその変異種を発見出来なかったか、もしくはあり得ない事とは思いますが、発見したが公表しなかった、のいずれかになります。
また南アフリカの国立感染症研究所は、実は2年連続で変異種を発見しています。これはひとえに、南アフリカの研究所の優秀さを物語っていると思います。
南アフリカ政府も今回の諸外国の措置に猛反発していますが、今回の南アフリカのような仕打ちを受けるのであれば、今後どこかの国が変異種を発見したとしても公表しないでおこう、となりかねません。正直者が馬鹿を見るという状況です。
結局発生源を特定するのは難しいのですが、どうもこの一連のオミクロン株騒動で南アフリカだけが悪者にされている実態には、少々違和感が有ります。
いずれにしても、この新型コロナウイルス、早く衰退していってほしいものです。
石﨑 貴寛

南アフリカとラグビー ②2019年W杯
2021-10-28
2019年W杯は、御存知の通り南アフリカが優勝しました。
W杯の歴史の中で、ニュージーランドと並ぶ最多3度目の優勝です。
日本は予選プールではアイルランドやスコットランドといった強豪を抑えての4戦全勝1位通過。本当に2大会前がウソのような結果です。
決勝トーナメント準々決勝は、日本対南アフリカという、まさに私たち在留邦人にとっては夢のカードでした。日本としては「もう一度勝利を!」というところでしたが、王者南アフリカは前回のような油断は無く、きっちり日本に勝ちました。
この試合は当地のカフェの大型スクリーンで、多くの在留邦人の皆さん、南アフリカ人の皆さんと観戦していたのですが、サッカーのようにサポーター同士が別々に座るというような事は無く、お互いリスペクトしながら仲良く見ていました。
そして南アフリカ対イングランドの決勝。
再び在留邦人の皆さんとカフェに集まり、今度は南アフリカ人の皆さんと一緒に、スプリングボクス(ラグビー南アフリカ代表チームの愛称)を応援しました。
「インビクタス」という、1995年W杯南アフリカ代表をテーマにした実話の映画が有ります。当時の南アフリカでは、ラグビーは白人のスポーツ、サッカーは黒人のスポーツという暗黙の了解のようなものがあったそうで、この映画の冒頭、スプリングボクスの試合を見ている南ア人の黒人の観客が、相手チームを応援するという象徴的なシーンが有ります。
カフェの内外に集まった多くの人々と試合を観戦しながら、なんとなくその映画の事を思い出しました。
そしてノーサイドの笛。
その瞬間、人種や出自など全く関係なく観戦していた皆が南アフリカ国民として、スプリングボクスの優勝に喜びを爆発させていました。私も南アフリカに住まわせてもらっている人間として、一緒に大喜びしたのは言うまでも有りません。
正直なところ、2015年4月に南アフリカに赴任した際には、日本で開催されるこの2019年W杯の時にまだ南アフリカに駐在しているとは思っていませんでした。
2019年W杯の日本開催が決まった時から楽しみにしていたので、当初はこの時期に日本にいられないのが残念でしたが、最終的にこの瞬間に南アフリカの優勝、そしてその熱狂ぶりを経験出来たのは、逆に貴重だったのかもしれません。
石﨑 貴寛

南アフリカとラグビー ①2015年W杯
2021-09-17
南アフリカは、ラグビーがとても盛んです。
日本そして南アフリカのラグビーにおいて、2015年と2019年のW杯はまさに歴史的なものになりましたが、そのどちらの時も、私は南アフリカにおりました。
私自身ラグビー経験は有りませんが、学生時代から好きで、大学ラグビーやラグビーW杯もテレビで見ていました。
日本代表は1987年の第1回W杯から毎回出場しているものの、この時点までで勝利は1991年に1度だけという状態でした。W杯歴史上最多失点での敗退という不名誉な記録も持っています。
これまで私もラグビーW杯が開幕するたびに、今回こそ日本代表は勝てる!と応援しながら、今回も勝てなかったか・・・とがっかりする事を繰り返してきていました。
2015年W杯では日本と南アフリカが対戦する事となり、さすがに私も、今回は勝てる!とはとても思えず、南アフリカの知人には、まあ30点差以内の負けだったら日本の大健闘でしょう、なんて話をしていました。
一緒にテレビ観戦していた、日本から出張してきた取引先の方は、ラグビーに関しては全く知らないとの事で、「もし日本が勝ったら?」と聞かれたので、一応多少ラグビーを見て来た者として、「そんな事有り得ませんから!」と断言したくらいです。
結果は・・・皆さん御存知の通りです。
日本が劇的な大逆転勝利を収めるという、とんでもない事が起こりました。
テレビ放送のコメンテーターは涙目お通夜状態で絶句。
取引先の方には、「日本勝つの有り得ないんじゃなかったでしたか?」とつっこまれ私も絶句。
まさか日本代表のW杯挑戦の歴史において2勝目が南アフリカなどとは夢にも思いませんでしたが、一方で日本代表の選手たちは、南アに勝つ事を信じてプレーしたとの事。どれだけ努力を重ねて来たか、本当にすごい事だと思います。
日本代表の勝利はもちろん嬉しかったのですが、もうひとつ嬉しかったのは、まわりの南アフリカの皆さんが「日本おめでとう」と電話やメールを次々にくれた事です。
南アフリカにとって、当時相当格下の日本に負けてかなり悔しいはずなのに、日本の勝利を称えるというのは、なかなか出来る事では有りません。
石﨑 貴寛
