ヒジュラ暦の一年 イスラム世界の年末年始
ヒジュラ暦(イスラム暦)とは
ヒジュラ暦は、日本などが採用している西暦(太陽暦)とは異なり、月の満ち欠けを基準にした太陰暦です。1年は約354日で、太陽暦よりも約11日短いため、毎年少しずつ季節がずれていくのが特徴です。この暦は、西暦622年に預言者ムハンマドがメッカからメディナへ移住(ヒジュラ)した年を紀元としています。そのため、イスラム教徒の多い国々では宗教行事や祝日がこのヒジュラ暦に基づいて行われています。
イスラムの新年はヒジュラ暦の1月1日
イスラム暦の新年(ムハッラム月の1日)は、イスラム教徒にとって静かで内省的な日です。日本のようにカウントダウンやお祝いムードで盛り上がることはなく、信仰を新たにし、家族と静かに過ごす時間とされています。国によってはこの日を祝日とし、官公庁や企業が休業となる場合もあります。例えばサウジアラビアやドバイを含むUAE(アラブ首長国連邦)では、政府が発表するヒジュラ暦に基づき、毎年異なる日に休日が設定されます。
年末年始の文化の違い
ヒジュラ暦では宗教行事が中心であり、ラマダン(断食月)やイード(断食明け・犠牲祭)が最大の節目とされています。一方、年末や年始という概念は西暦に比べると日常生活ではあまり意識されません。そのため、中東諸国に駐在・出張する際には、「年末年始休暇=西暦の12月末〜1月頭」という感覚が通じない場合もあります。現地のカレンダーを確認し、取引先や政府機関の休暇期間に合わせてスケジュールを組むことが重要です。また、日本からやり取りしている場合は日本の年末年始をはじめとした休暇の案内を早めにお知らせしておくとお取引がスムーズに進みます。
ビジネスでの注意点
ヒジュラ暦は国ごとに運用の仕方が異なるため、祝日の確定が直前までわからないこともあります。特にラマダン明け(イード・アル=フィトル)や犠牲祭(イード・アル=アドハー)は、月の観測結果によって開始日が前後します。サウジアラビアでは官公庁が長期休暇に入るため、商談や物流スケジュールに影響するケースもあります。ビジネスを進める際は、現地の宗教行事カレンダーを常に確認し、柔軟に対応できる体制が求められます。
まとめ
ヒジュラ暦は、イスラム世界の価値観や時間の流れを形づくる大切な要素です。日本とは異なるリズムで生きる人々を理解することで、より円滑なビジネスと信頼関係を築くことができます。
年末年始の過ごし方一つをとっても、文化の違いを尊重し合うことが、グローバルビジネスの第一歩です。
出典:
Y-History 教材工房,「世界史の窓」,世界史用語解説 授業と学習のヒント, イスラーム暦/ヒジュラ暦
〈イスラーム暦/ヒジュラ暦〉,(2025年11月5日).
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