南アフリカの治安は本当に危険?【後編】
駐在員が実践する安全対策|現地で学んだ危機管理と出張・赴任前に知っておきたいこと

はじめに
前編では、南アフリカで実際に生活して感じた治安の実情や、日常生活で徹底している安全対策についてご紹介しました。
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南アフリカの治安は本当に危険?【前編】|駐在員が実践する安全対策
後編では、実際に遭遇した危険な体験や現地で教わった防犯対策、企業としての安全管理、そしてこれから南アフリカへ出張・赴任する方へ伝えたいポイントをご紹介します。
南アフリカは注意が必要な国ではありますが、正しい知識と備えがあればリスクを減らすことは可能です。
実際に遭遇した危険な出来事
幸い大きな被害に遭ったことはありませんが、危険を感じた場面は何度かありました。
最も印象に残っているのは、運転中に突然タイヤがパンクした時の出来事です。
路肩へ車を停めたところ、物陰から複数人が近づいてくる様子が見えました。
過去に「故意に車を止めさせ、車両強盗を行う手口」があることを事前に学んでいたため、その場ではタイヤ交換をせず、パンクしたまま安全な場所まで移動しました。
結果的に被害はタイヤだけで済みましたが、事前に似た事例を知っていたことが冷静な判断につながりました。
一方で、実際にその状況になると想像以上に動揺し、「知識があっても冷静に行動することの難しさ」も実感しました。
危機管理では、情報を知るだけでなく、「実際に起きたらどう行動するか」を普段から考えておくことの重要性を改めて感じています。
「親切」を疑わなければならない難しさ
ある日、交差点で信号待ちをしていると、物乞いの方から「タイヤがパンクしているよ」と声を掛けられました。
過去に、「タイヤを確認するため車を降りたところを狙われる」という犯罪事例を聞いていたため、その場では確認せず、安全な駐車場まで移動しました。
そこで確認すると、本当にタイヤはパンクしていました。
結果として、その方は本当に親切で教えてくれただけだったのかもしれません。
しかし、危機管理の観点からは、その場で車を降りなかった判断は間違っていなかったと考えています。
南アフリカでは、「善意かもしれない」と思える場面でも、まず自分の安全を優先することが大切です。
現地の人から教わった防犯対策
長く生活する中で、現地スタッフや取引先から多くの防犯対策を教えてもらいました。
例えば、
- タクシーや現金輸送車の近くはできるだけ走行しない
- 警察に停止を求められても窓は全開にしない
- 警察と話す時も落ち着いてSirやMa’amなど丁寧な言葉を使う
といったアドバイスは非常に参考になりました。
また、日本では想像しにくいことですが、南アフリカでは警察官による汚職が社会問題となっています。
実際に「罰金はいくらですか?」と尋ねたところ、「今いくら現金を持っている?」と聞き返された経験もありました。
もちろん全ての警察官ではありませんが、日本とは違う社会背景を理解した上で行動する必要があります。
会社として最も重視しているのは「安全第一」
当社では厳しい行動制限や門限などは設けていません。
しかし、それ以上に「何よりも安全を最優先にする」という考え方を徹底しています。
実際には、
- 危険を感じたら予定を変更する
- 商談よりも安全を優先する
- 無理な移動はしない
といった判断を現地駐在員自身が行っています。
一方、他の日系企業では、さらに厳しい安全管理を行っているケースも少なくありません。
「意外と安全」と感じたこと
南アフリカについて調べると、「犯罪遭遇率150%」といった極端な情報を目にすることがあります。
しかし、これは一部地域の状況を指している場合が多く、ヨハネスブルグ全体を表しているわけではありません。
ショッピングモールや商業施設、公園など、安全対策が整った施設も数多くあります。
とはいえ、「安全な場所=100%安全」ではないという意識は常に持っています。
その意味では、唯一心から安心できる場所は在南アフリカ日本国大使館くらいかもしれません。
南アフリカならではの防犯インフラ
日本との違いを強く感じるのが、防犯設備の充実です。
住宅街では高いフェンスや電気柵で囲まれ、24時間体制の警備員が配置されている住宅も珍しくありません。
社宅では、道路のゲートから玄関まで複数のセキュリティゲートを通過しなければならないこともあります。
また、ショッピングモールには銃を携帯した警備員が常駐しており、日本とは全く異なる警備体制を見ることができます。
さらに、日本では警察が担う役割の多くを、南アフリカでは民間警備会社が担っています。
需要が高い分、サービス品質も高く、防犯インフラとして社会に根付いています。
一方で、荷物の受け取り一つをとっても、セキュリティの高さ故に事前にゲート承認や受付への連絡が必要になるなど、不便さを感じることもあります。
それでも、安全を守るためには欠かせない仕組みです。
これから南アフリカへ出張・赴任する方へ
これから南アフリカへ渡航される方へお伝えしたいのは、「安全対策は特別なことではなく、毎日の習慣にすること」です。
現地では、
- 外務省や大使館から最新情報を確認する
- 危険情報を常に収集する
- 万が一の時は財産より命を優先する
といった意識が大切になります。
一方で、必要以上に周囲の人を疑い続ける必要はありません。
南アフリカには親切で温かい人も多く、現地で素晴らしい交流が生まれることも数多くあります。
大切なのは、「危険を過度に恐れる」のではなく、「冷静に状況を判断する力」を身につけることです。
南アフリカの治安を一言で表すと
「安全は与えられるものではなく、自ら守るもの。」
現地では、一人ひとりが日頃から情報を集め、安全を最優先に行動することが何より重要です。
そうした積み重ねが、安全な駐在生活や円滑なビジネスにつながります。
後編まとめ
南アフリカの治安は、日本と同じ感覚で生活できる環境ではありません。
しかし、危険を正しく理解し、情報収集や安全対策を日々積み重ねることで、リスクを減らしながら生活やビジネスを行うことは十分可能です。
当社は1960年代から南アフリカに拠点を設け、60年以上にわたり日本人駐在員を継続して派遣してきました。その中で蓄積してきた現地の治安情報や危機管理のノウハウは、出張や輸出を検討される企業様にも役立つと考えています。
南アフリカへの進出や市場調査、現地企業との商談をご検討の際は、現地事情も含めてお気軽にご相談ください。
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