【コラム】南アフリカの治安は本当に危険?【前編】│駐在員が実践する安全対策
南アフリカの治安は本当に危険?【前編】
駐在員が実践する安全対策|実際に住んで感じた治安と日常生活

はじめに
「南アフリカは治安が悪い」と耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
実際に、南アフリカは犯罪発生率の高さから治安への注意が必要な国として知られています。
一方で、現地で長年生活しながら仕事を続けている日本人駐在員も多く、正しい知識と十分な安全対策を講じることでリスクを抑えながら生活しているのも事実です。
今回は、約2年間ヨハネスブルグへ駐在している当社社員が、実際に現地で感じた治安の実情や、日常生活で徹底している安全対策についてご紹介します。
これから南アフリカへの出張や赴任を予定している方はもちろん、現地ビジネスを検討されている企業様にも参考となる内容です。
赴任前に抱いていた「南アフリカ=危険」というイメージ
赴任前は、「犯罪率が非常に高く、自由に行動できない国」という印象を持っていました。
周囲からも、「そんな危険な場所へ行って本当に大丈夫なの?」と心配されることが多く、自分自身も犯罪へ巻き込まれた際に冷静に対応できるか不安を感じていました。
特に一番心配だったのは、仕事で家を空けている間の帯同家族の安全です。
自分だけでなく家族を守る責任があるため、赴任前から治安については徹底的に情報収集を行いました。
実際に住んでみて感じた治安のギャップ
実際に生活してみると、「想像より安全」と感じる場所も多くありました。
ショッピングモールや入場料が必要な公園、マーケットなどは警備体制が整っており、比較的安心して利用できます。
しかし、「安全そうに見える場所=絶対に安全」というわけではありません。
実際に利用していたショッピングモールで、翌週に銃撃事件が発生したこともありました。
この経験から感じたのは、「どこであっても油断しないこと」が南アフリカでは何より重要ということです。
赴任前は、危険な地域と安全な地域は見た目ですぐ分かると思っていました。
しかし実際には、治安が良さそうに見える場所でも事件が起こる可能性はあります。
この「安全そうだから安心」という考え方は、現地では通用しません。
日本とは違う「車社会」ならではの犯罪
日本との大きな違いは、生活のほぼすべてが車移動になることです。
南アフリカでは、交差点で信号待ちをしている車を狙った「Smash & Grab(スマッシュ・アンド・グラブ)」と呼ばれる車上強盗が多発しています。
実際に邦人が被害に遭うこともあり、外務省の海外安全ホームページでも注意喚起がなされています。
外務省 海外安全ホームページ|盗難(スマッシュ&グラブ)被害の発生(プレトリア・リンウッド地区)
日本では車上荒らしは運転手不在の際に行われるイメージですが、南アフリカでは運転中の信号や渋滞で停車している間に狙われやすいです。
万が一被害に遭った場合は武器を使用される虞があるため、抵抗しないようにとされています。
交差点には物売りや物乞い、ストリートパフォーマーなど多くの人が集まることも珍しくありません。
そのため、
- 停車中も常に周囲を確認する
- 怪しい人物が近づいたらすぐ逃げられるよう前の車との車間距離を十分に空ける
- 車内でスマートフォンを使用しない
など、日本ではあまり意識しない安全対策が日常生活の一部となっています。
日常生活で徹底している安全対策
夜間の外出はできるだけ避ける
特に夜間の運転、単独での運転については車上強盗に狙われやすいため、基本的に夜間の外出は控えています。
夕食へ出掛ける場合でも20時頃、遅くとも21時頃までには帰宅するよう心掛けています。
また、近隣で治安悪化の情報が入った場合には、夜間の外出自体を取りやめることもあります。
徒歩移動は基本的にしない
徒歩3分ほどの距離に病院がありますが、その距離でも車を利用します。
日本では「少し歩けばすぐ」という感覚でも、南アフリカでは徒歩移動そのものを避けることが重要です。
スマートフォンは必要最低限しか使わない
車内ではスマートフォンを使用しません。
外出先でも必要最低限に留め、人通りの少ない場所や背後に人が立たない場所を選んで操作するようにしています。
実際にスマートフォン等が奪われる強盗事件も発生しているため、日頃から慎重な行動を心掛けています。
現金はほとんど持ち歩かない
普段の買い物はほぼキャッシュレスで済むため、現金は日本円で2,000〜3,000円程度しか持ち歩きません。
財布の中身を見られ、多額の現金を持っていると判断されること自体がリスクになるためです。
派手な服装や高級品は避ける
ブランド品や高級腕時計、アクセサリーなどは身に着けません。
また、スーツやネクタイなど目立つ服装も避け、できるだけシンプルな服装で行動しています。
「狙われにくいこと」が防犯につながるためです。
日々の生活で習慣になっている安全確認
現地では、毎日の生活の中で次のような確認を自然と行うようになります。
(下記は安全確保のために確認している項目の一部です)
- 車を施錠した後は必ずドアノブを引き、施錠できているか確認する
- 乗車前にはナンバープレートが盗まれていないか確認する
- 陸橋を通過する際は、不審者がいないか確認する
- 信号待ちでは車間距離を十分確保し、いつでも回避行動が取れるようにする
- スマートフォンのナビを使う前に、危険地域を通らないルートか確認する
また、外務省の海外安全ホームページ、在南アフリカ共和国日本国大使館、日本人会からの情報共有、現地ニュース、ラジオ、SNSなどから最新の治安情報を毎日確認しています。
南アフリカでは犯罪の手口も日々変化するため、情報収集そのものが重要な安全対策の一つです。
移動時に意識しているポイント
通勤はすべて車移動です。
また、毎日同じ時間・同じルートを使わないよう意識しています。
生活パターンを読まれないよう、時間帯やルートを変えることも防犯対策の一つです。
配車アプリを利用する場合も、料金が安いプランではなく、評価の高い上位グレードを利用しています。
駐車場についても、多少費用が掛かっても有料駐車場を利用するよう心掛けています。
さらに、車載カメラを設置したことで、不当な交通取り締まりを受ける機会が減ったと感じています。
ただし、車上荒らし対策として駐車時には取り外せるタイプのドライブレコーダーを使用しています。
前編まとめ
南アフリカの治安は、日本とは比較にならないほど注意が必要な場面があります。
しかし一方で、「危険だから何もできない国」というわけではありません。
重要なのは、危険を正しく理解し、安全対策を日常生活の習慣として身に付けることです。
外務省が公開している安全対策基礎データの、犯罪発生状況、防犯対策もぜひご覧ください。
海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ
後編では、実際に遭遇したヒヤリとした体験談や現地の人から教わった防犯対策、企業として実践している安全管理、そしてこれから南アフリカへ出張・赴任する方へのアドバイスをご紹介します。
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